掛け時計専門店|掛け時計ワールドのブログ

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直径6メートルの掛け時計

   

ヨーロッパの街の共通点といえば、ほとんどがたとえばパリの凱旋門がそうであるように、重要な目印がロータリーの中心になり放射線状に道が延び、円がいくつも連なったように広がっていることと、街の中心にある市庁舎や歴史的な建物の壁面や塔の側面には必ずと言っていいほど「時計」がデンと取り付けられているこの2点。
時計好きの私にとっては見るたびにそれぞれの個性の違いや、付属しているからくり人形がどんなふうに動くのかが興味深いのだが、中には見るたびに芳しくない思い出がよみがえってくるというのもあるらしい。
先日初めて訪れたポーランドのワルシャワ。
まだ9月の初めだというのに、氷雨交じり当地の気温は12度で薄いコートではじんわりと寒さが身に染みる。
ポーランドは日本人にとってはあまりなじみのない東欧の大国ではあるが、この首都の近代的な中央駅の真ん前にそびえているのが、堂々たるという言葉を通り越して、威圧感さえ感じられる石造りの42階建て、高さ240mの見上げると首が痛くなるような巨大な高層ビル。ビルの名前は「文化科学宮殿」、文化だけではなく科学という文明までも詰まった宮殿ですぞ。部屋数はなんと3288室もあるそうです。
ニューヨークのエンパイアステートビルを彷彿とさせるこのビルのなかには、各種の研究所、わけのわからない博物館、テレビ局、コンベンションホールなどが入っており、地上30階、高さ120mほどのところには展望台があるらしい(あるらしい、と書いているのは実は私は4階程度のビルの屋上から下を眺めるのもできれば避けたいという高所恐怖症なのです)。
この天辺付近に取り付けられているのがおそらく世界最大、なんと直径6メートルの時計!それも4面すべてに取り付けられている
つまり、ワルシャワ市内のどこにいても、この巨大な建造物が見える場所であればどの方向からでも時間がわかるという壮大というか、自己主張の強いシロモノ。
パンフレットによればなんとこれは1955年、つまり今から60年前も前に造られたものだというからすごい。
いくら地震がないとはいえ、失礼ながら主な産業は農業、工業技術面では後進国である東欧でこれだけのものが作れたとは!?
が、続きを読むとこの建物はソビエトのスターリンからの贈り物と書いてある。
「あーはぁん、なるほど」
実はこの建物、ワルシャワの人たちには人気がない。
そりゃそうだ。見るたびに隣の強国、恐ろしい隣人のソビエトを思い出すのは決して心地よいとは言えないものね。建設当時、こんな小話が流行ったということです。
「ソビエトはあなたたちの友人ですか」
「いいえ、兄弟です。友人は選べるけれど、兄弟は選べないのです」
もう一つ。
「ワルシャワで最も行きたい場所は?」
「文化科学宮殿の中。あそこなら宮殿を見なくてすむものね」

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