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複雑怪奇!天文時計

   

チェコのプラハに着いたのは1月も下旬。

寒いとは覚悟していたが、空港を出た途端、雪空は重く立ち込め、強風に耳がちぎれそうに痛い。
日本を出るときにそれなりの寒さ対策を考え、帽子も厚手のキャップを用意していったが、耳は無防備。
慌てて空港内の売店に戻り、耳隠しのついたフェイクファー製の子供のかぶり物みたいなのを購入して、いざ市内へ。

プラハは第二次世界大戦で多大な被害をこうむったが、ヨーロッパの他の街もそうであるように、頑なまでに昔ながらの石造りの建物をそのまま再建。
日本の街が昔の面影をかなぐり捨てその趣をどんどん変えていくのと比べて、古き良き時代の街のたたずまいを残そうする彼らの情熱にはうらやましさを覚える。
そんな多くのヨーロッパの街の中でも、プラハの街の美しさは印象に残る。
基本的には東欧の大きな町のパターン、街中の小高い山の上にお城があって、石畳の道路の両側にはこれまた石造りの4-5階建ての住居が並び、あちこちにでかい彫像が据え付けられている、それと街中を流れる大きな川という風景なんだけど、繊細でシックなという言葉がしっくりくる町。

そんなプラハの観光スポットに天文時計(てんもんどけい)がある。

プラハ中心部にある古い時計塔に3つ取り付けられた円盤は、天辺の一番高い所が時計(確か、そうだったと思います)、そしてからくり人形が出入りする門が2つ、その下に空の太陽や月の位置などの天文図を示すための円盤、そして手を伸ばせば届きそうな所に月々を表す浮き彫りの暦の円盤がある。

最も複雑なのが真ん中にある天文時計で、正直、見ているだけでは何が何だかわからず、なんとなくすごいモノなんだろうという感想だけれど、物の本によると例えば太陽、月、十二宮の星座、時には主要な惑星の相対的な位置などを示す、と書いてある。
(くどいようですが飽きもせず眺めていると、幾何学模様みたいなのが書いてある文字盤の上にあるリングと針がごくわずかに動くだけなので誰が見てもわからん、と思う)

今日の機械式時計の中には、月の満ち欠けを表す「ムーンフェイズ」という半円形の窓を備えたものがあるが、この天文時計から見ればいたってシンプル。
※よく「ムーンフェイス(月の顔)」と間違われるが、正しくは「ムーンフェイズ」
フェイズとは「相」、つまり地球から見た月の形を表す。
つまり、新月から満月になり、そしてだんだん欠けていく1か月のお月さんの動きを示しています。
ナゼ、月の満ち欠けをわざわざ表示するかというと、月は潮の満ち引きをはじめ、自然の現象や人の行動、生理現象との関連が深く、中世ヨーロッパに機械式時計が登場して以来、時と同じくらい大切なものとして考えられてきたからなのです。

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