鉄道時計はなぜあのデザイン?
ヨーロッパの鉄道、地下鉄のプラットホームに設置されている掛け時計は、スイス鉄道時計として名が知られているが、実はどの国に行ってもほとんどが同じデザイン。
形はほとんどが丸型で、なかには四角の物もあるがきまって文字盤は白で、黒い棒状の時刻目盛(ストライプないしはバーと言います)、そしてこれまた太めの棒状の黒い長針と短針という、非常にシンプルではっきりとしたデザイン。
よく掛け時計にある1、2、3という数字が書かれているものはありません。
この理由は、遠くからでも読み取りやすいという点と、走っている列車の中からでもプラットホームに設置されている時計の時間がまちがいなく読めるという点にある。
このデザインは自然発生的に出来上がったものではなく、1944年にスイスの技術者、ハンス・ヒルフィカーがスイス国鉄のために設計しました。
小さな山国スイスの鉄道?と思われるかもしれませんが、この国の鉄道路線の長さは、国自体の面積が九州よりやや小さい程度しかないにもかかわらず、5380kmと九州の約2倍あります。路線密度では世界一だそうです。
余談になりますが、昔、イタリアからイギリスまで鉄道で移動したときのこと。
EUができてから国境という概念がずいぶん薄れたが、当時は国境で列車の機関士たちが交代し、その運転ぶりはそれぞれのお国を象徴する感があった。
イタリア国内ではずいぶん列車の時刻が遅れイライラさせられ、その遅れをスイスの鉄道マンたちが必死で半分くらい取戻し、ドイツに入れば全ての駅に定刻通りに到着したのを覚えている。
近年、話題になったのはAppleがiOS 6向けにリリースした時計アプリのデザインが、鉄道時計の盗用であるとされ、商標権侵害に対して2000万スイスフラン(約16億7000万円)をライセンス料として支払ったというニュース。
永遠の定番デザイン、スイス鉄道時計はアップルより強いのだ。